【入門編】 無線パケット損失と遅延揺らぎ(ジッタ)がTCP/UDPスループットに与える影響 – 家庭用ネットワーク・IoT・モバイル通信実践ガイド

こんにちは!最新のネットワーク技術やガジェットの進歩に毎日ワクワクしている、ネットワークライターの筆者です。

「5Gになって超高速・低遅延になるって聞いたのに、スマホの回線がなんだか時々すごく重くなるなぁ……」
「ミリ波やSub6、4G/LTEって、結局何がどう通信に影響しているんだろう?」

そんな風に思ったことはありませんか?

実は、モバイル通信(無線)の世界には、光ファイバーのような有線ケーブルの世界にはない「無線区間特有の魔物」が潜んでいます。その魔物の正体こそが、今回ご紹介する「無線パケット損失(ロス)」と「遅延揺らぎ(ジッタ)」です。

この記事では、インフラやネットワークに初めて触れるエンジニアの方や、一歩踏み込んでネットワークの仕組みを知りたい初学者の方に向けて、難しい専門用語や数式をできるだけ使わず、身近な「郵便配達」に例えて優しく解説していきます。

パケットたちが空を飛び交う様子をイメージしながら、一歩ずつ一緒に理解していきましょう!

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1. そもそも「TCP」と「UDP」ってどんな配達員?

ネットワークの世界では、データは「パケット」という小さな荷物に小分けされて運ばれます。この荷物を届けるルール(プロトコル)の代表選手が、TCP と UDP です。
まずはこの2つの違いを、身近な「配達員さん」に例えておさらいしてみましょう。

確実丁寧な「TCPさん」(書留郵便)

TCP(Transmission Control Protocol)は、とにかく「確実性」を重んじる配達員さんです。

  • 荷物を送ったら、相手から「届いたよ!」というハガキ(ACK:確認応答)が返ってくるのを待ちます。
  • もしハガキが届かなければ、「途中で荷物が消えちゃったかも!」と判断して、同じ荷物をもう一度送り直します(再送)。
  • 順番がバラバラに届いたら、きれいに並べ直してから相手に渡します。

Webサイトの閲覧やメール、ファイルのダウンロードなど、「1文字でもデータが欠けたら困る通信」で大活躍しています。

スピード命の「UDPさん」(チラシ配り)

一方で UDP(User Datagram Protocol)は、とにかく「速さ」が命の配達員さんです。

  • 相手が受け取れたかどうか、届いた順番が正しいかどうかいっさい気にせず、とにかく目にも留まらぬ速さで荷物を投げ込み続けます。
  • 途中で荷物が風に飛ばされて消えても、知らんぷりで次の荷物を送ります。

こちらは、多少画質が乱れても一瞬の遅れも許されない「オンラインゲーム」や「ビデオ通話」、「音声通話」などで使われています。

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2. 無線区間の2大トラブル「ロス」と「ジッタ」

有線の光回線は、ノイズに強いガラス繊維のチューブ(ケーブル)の中を通るため、データが途中で消えることは滅多にありません。
しかし、空気中を電波で飛ぶモバイル通信(5Gや4G/LTE)はそうはいきません。ここで登場するのが、通信を邪魔する2大トラブルです。

① パケット損失(ロス)は「突風で荷物が消える」こと

無線通信の天敵は、雨やビル、電柱、さらには「人の体」や「手のひら」といった遮蔽物、そして電子レンジなどの電磁波ノイズです。
これらに電波がぶつかると、データが一瞬でかき消されてしまいます。これを「パケット損失(ロス)」と呼びます。

特に、一瞬だけ電波が急激に悪くなってまとめて荷物が消えてしまう現象を、専門用語で「バーストエラー(連続的な損失)」と言います。突然の突風で、配達中の荷物が一気に何個も吹き飛んでしまうようなイメージですね。

② 遅延揺らぎ(ジッタ)は「配達時間が毎回バラバラ」なこと

データが送信元から出発して、相手に届いて戻ってくるまでの往復時間をRTT(Round Trip Time:ラウンドトリップタイム)と呼びます。

有線なら毎回ほぼ同じ時間で往復できますが、無線は違います。
「さっきは10ミリ秒で往復できたのに、今度は電波の調子が悪くて回り道したから100ミリ秒かかった」というように、往復時間に大きなバラつきが発生します。
この「遅延のバラつき、揺らぎ」のことを「ジッタ(Jitter)」と呼びます。

郵便に例えるなら、配達員さんが毎回違うルートを通ったり、途中の踏切や渋滞に捕まったりして、荷物が届く間隔が「5分後」「1時間後」「10秒後」とバラバラになってしまう状態です。

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3. なぜロスやジッタが起きると、TCPは劇的に遅くなるのか?

ここからが本題であり、ネットワークエンジニアを悩ませる最大のポイントです。
実は、「無線のパケットロスやジッタが発生すると、TCP は良かれと思って、自分で勝手に通信速度をめちゃくちゃ遅くしてしまう」のです。

一体どういうことでしょうか? TCP が持つ「ウィンドウサイズ(一度に送れる荷物の量)」の仕組みから紐解いてみましょう。

TCPの「様子見」と「ブレーキ」

TCP は、最初から全力疾走で荷物を送りません。道路(回線)が混んでいるかもしれないからです。

1. 最初は1個だけ送ってみる。
2. 「届いたよ!」とハガキ(ACK)が来たら、次は2個送る。
3. また無事に届いたら、次は4個、その次は8個……と、一度に送る荷物の量(これをウィンドウサイズ、専門的には cwnd:輻輳ウィンドウと言います)をどんどん増やしていきます。

このように、道路の空き具合を見ながら送信量を増やす仕組みを「輻輳制御(ふくそうせいぎょ)」と呼びます。

しかし、もし途中で荷物が1個でも消えてハガキが戻ってこなくなると、TCP はこう勘違いします。

「あわわ! 荷物が届かないってことは、道路がものすごい大渋滞(輻輳)を起こしているんだ! これ以上送ったらパンクしちゃう!」

そう思った TCP は、大慌てで強力なブレーキを踏み、一度に送る荷物の量を一気に半分(あるいはそれ以下)に減らしてしまいます。

無線区間での「大いなる勘違い」

ここに、有線と無線の決定的なギャップがあります。

  • 有線の世界: ケーブル内でデータが消える原因は、ほぼ100%「ルーターが混雑でパンクして荷物を捨てた(

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