【入門編】 レイヤ3スイッチとSVI(Switch Virtual Interface)の基本設計とルーティング動作 – インフラ・物理&L2/L3ネットワーク基礎実践ガイド

こんにちは!ネットワークの世界へようこそ。
インフラ・ネットワークの世界に足を踏み入れたばかりの頃って、次から次へと出てくる専門用語に圧倒されてしまいますよね。「VLANって何?」「ルーティングってルータがやるんじゃないの?スイッチがやるの?」そんな疑問を抱えている方も多いはずです。

今回は、ネットワークの現場で避けて通れない、けれどとってもエキサイティングな技術「レイヤ3スイッチ(L3スイッチ)とSVI(Switch Virtual Interface)の基本設計とルーティング動作」について、難しい英語のヘッダーやパケットのビット数のお話はひとまず置いておいて、身近な例えを交えながら一歩ずつ優しく紐解いていきましょう!

—

1. そもそもL2スイッチとL3スイッチって何が違うの?

まずは、私たちが普段よく目にする「スイッチ」の仲間たちを整理してみましょう。

  • L2スイッチ(レイヤ2スイッチ):社内の「お部屋(フロア)」を繋ぐ配達員

L2スイッチは、同じ社内(同じVLAN)の住人同士を手紙の宛先(MACアドレス)だけを見てテキパキと繋ぐ、優秀なフロア担当の配達員です。同じフロア内なら一瞬で荷物を届けられますが、別のフロア(別のVLAN)へは「私の仕事範囲外です!」と荷物を運んでくれません。

  • L3スイッチ(レイヤ3スイッチ):フロアをまたぐ「高速エレベーター付き」のスーパー配達員

L3スイッチは、L2スイッチの素早い身のこなし(ハードウェアによる高速なスイッチング)を持ちながら、なんとルータの頭脳(ルーティング機能)を内蔵しています。つまり、別のフロア(別のVLAN)へ行きたい荷物を受け取ると、自らエレベーターに乗って(ルーティング処理を行って)宛先のフロアへ届けてくれるのです。

—

2. SVI(Switch Virtual Interface)って一体なに?

「L3スイッチがルータの頭脳を持っているなら、どうやって別のVLANと会話するの?」
ここで登場するのが、今回の主役であるSVI(Switch Virtual Interface)です。

名前に Virtual(仮想) とついている通り、SVIはL3スイッチの中に「なんちゃってルータの口(インターフェース)」をソフトウェア的、かつ仮想的に作り出す仕組みです。

郵便局の「窓口」に例えてみよう

会社の中に、部署ごとに「営業部エリア(VLAN 10)」と「開発部エリア(VLAN 20)」という2つの部屋があるとします。
この2つの部屋の間で書類のやり取りをするには、お互いの部屋のドアの他に、「部署間を行き来するための共通の窓口」が必要になりますよね。

この窓口こそが、L3スイッチの中に作られたSVIです。

  • 営業部エリア(VLAN 10)の住民にとっては、SVIが「お隣の部屋に行くときの最初の相談窓口(デフォルトゲートウェイ)」になります。
  • 開発部エリア(VLAN 20)の住民にとっても、同じくSVIが別の部屋に行くための窓口です。

L3スイッチは、自分の心臓部(内部)にこの「VLANごとの窓口(SVI)」を複数持っているため、営業部からの荷物をいったん窓口で預かり、「あ、それは開発部宛てですね」と確認して、そのまま開発部側の窓口へとスッと引き渡すことができるのです。これがVLAN間ルーティングの正体です。

—

3. なぜ「ハードウェア転送」がすごいの?

ルータでもVLAN間ルーティングはできますが、なぜ私たちはL3スイッチを使うのでしょうか?
それは、L3スイッチが「ハードウェア(専用の回路チップ:ASIC)」の力を使ってルーティングを行っているからです。

通常のルータが、届いた手紙を1通ずつじっくり読んで「ええと、宛先は…」とソフトウェアで頭を悩ませながら宛先を探す(CPU処理)のに対し、L3スイッチは長年培った反射神経のような専用チップで、「この宛先なら、この回路を通せば一瞬!」と、ものすごいスピードで処理してしまいます。
これが、大規模なネットワークでも遅延を感じさせない理由なんですね。

—

4. 実務で設定してみよう!L3スイッチの基本設定とSVI

それでは、実際にシスコシステムズ(Cisco)等のスイッチを想定した設定(CLIコマンド)を見ていきましょう。
「難しそう…」と感じるかもしれませんが、一つずつ意味を噛み砕けば怖くありません!

! ------------------------------------------------------------
! 1. VLANを作成する(それぞれの「お部屋」を用意します)
! ------------------------------------------------------------
vlan 10
 name SALES-VLAN      ! 営業部用のVLANに名前をつけます
vlan 20
 name DEV-VLAN        ! 開発部用のVLANに名前をつけます

! ------------------------------------------------------------
! 2. 端末が繋がる物理ポートをそれぞれのVLANに割り当てます
! ------------------------------------------------------------
interface GigabitEthernet 0/1
 switchport mode access
 switchport access vlan 10   ! ポート0/1は営業部のお部屋へ繋ぎます
 no shutdown

interface GigabitEthernet 0/2
 switchport mode access
 switchport access vlan 20   ! ポート0/2は開発部のお部屋へ繋ぎます
 no shutdown

! ------------------------------------------------------------
! 3. SVI(仮想の窓口)を作成し、IPアドレスを付与します
! ------------------------------------------------------------
! これがL3スイッチのルーティングの要となる「窓口」です!
interface Vlan 10
 ip address 192.168.10.254 255.255.255.0  ! 営業部側のゲートウェイIP
 no shutdown

interface Vlan 20
 ip address 192.168.20.254 255.255.255.0  ! 開発部側のゲートウェイIP
 no shutdown

! ------------------------------------------------------------
! 4. スイッチ全体のルーティング機能を有効にします
! ------------------------------------------------------------
! ※デフォルトではスイッチはルーティングをしない設定になっています
ip routing

設定のポイント

  • vlan 10 や vlan 20 で部屋の区切りを作っています。
  • interface Vlan 10 や interface Vlan 20 が、まさに私たちがこれまでお話ししてきたSVIです。ここに割り当てたIPアドレス(192.168.10.254 など)が、それぞれのVLANにいるパソコンたちの「出口(デフォルトゲートウェイ)」になります。
  • 最後の ip routing コマンドで、スイッチに「今日から君はルータの頭脳も使っていいよ!」とスイッチを入れています。

—

5. 現場で役立つ設計のワンポイント・アドバイス

実際にインフラの現場でL3スイッチやSVIを設計・運用する際には、いくつか知っておくべきポイントがあります。

1. IPアドレスのサイジング計画を丁寧に
SVIに割り当てるIPアドレスは、そのVLAN全体のデフォルトゲートウェイとなります。将来的に端末が増えることを見越して、サブネットマスクの設計(ホスト数が足りなくなるミスなど)は慎重に行いましょう。
2. スパニングツリー(STP)との関係
L2のループを防ぐ仕組みであるSTPは、VLANごとに動作します。SVIを持つL3スイッチは、そのVLANにおける「ルートブリッジ(中心的存在)」になりやすいため、ネットワーク全体の設計図をしっかり描いておくことが大切です。
3. セキュリティの考慮(ACLの活用)
「営業部のパソコンから開発部のサーバーへはアクセスさせたいけれど、逆は禁止したい」といった要件が出てきます。その場合は、SVIに対してアクセスリスト(ACL:Access Control List)を適用することで、窓口のセキュリティチェックを厳しくすることができます。

—

まとめ

今回は、レイヤ3スイッチとSVIの基本設計、そしてルーティング動作についてお話ししました。

  • L2スイッチは同じ部屋の中を繋ぐ配達員。
  • L3スイッチは、フロアをまたぐ高速ルーティング機能を持ったすごい奴。
  • SVIは、L3スイッチの中に作られた「VLANごとの仮想的な窓口(ゲートウェイ)」。

難解に見えるネットワークの仕組みも、私たちが普段暮らしている世界の「郵便配達」や「お部屋の窓口」に置き換えてみると、ぐっと身近に感じられるのではないでしょうか?

インフラエンジニアへの道は一歩一歩の積み重ねです。ぜひ今回の記事を参考に、実機やシミュレータを使ってパケットの流れを想像しながら設定に触れてみてくださいね。それでは、また次回のネットワーク解説でお会いしましょう!

コメント

タイトルとURLをコピーしました